こんにちは。ホケンタイイク246です。
コロナウイルスの影響で全世界が大混乱。学校現場でも休校措置がとられ、教育の在り方を見直すことが余儀なくされています。本年度じっくりやろうと思っていたことをこの4月からやれって雰囲気なので、結構不安な面もあるのですがやるしかないということですね。
体育は実技科目ということで「学校に来ないとできない」と思っている人も多いはず。でも、そうではないということをこのブログでは再三書いてきました。
「学校ありき」という発想からは、「学校でしか運動しない」という発想にもなります。生涯スポーツとして健康の保持増進を行うのであれば、普段の生活の中で“自分で運動する時間をつくる”習慣をもたせる指導をするのも大切な教育になります。
むしろその方が長い目で見ると健康につながるような気がします。
休校措置であるならばもちろん、今後終息したとしても「在宅でも体育はできる」というスタンスで生徒に向き合うほうがいいと思っています。
いまはさまざまなデバイスやアプリが登場しています。それを有効活用して、生徒のためになる体育の授業をしていきましょう。
この記事で考えていきたいのは「休校措置でもできるリモート体育のカリキュラム」です。ぜひご一読いただき、さまざまな意見を頂戴したいと思っています。
目次
- リモート体育の4象限
- 「indoor 室内」と「outdoor 屋外」
- 「task 課題達成」と「log 運動習慣」
- リモート体育カリキュラム
- まとめ
リモート体育の4象限
在宅での体育。
アプリにZOOM。さまざまな手段がありますが、まずは大枠を設定し「やるべきこと」「できること」「目標」などを俯瞰できるようにしていきましょう。
そのために有効なのが4象限による分類法。
何を設定するのかで大きく内容は変わるものですが、自分なりに考えたものがこれです。

まずは「屋外」か「室内」という分類です。家で動くとなるとこの誰しもがこの分類をしているのではないでしょうか。
つぎに「task 達成」と「log 記録」の分類です。これも多くの人が運動する動機になっているように思います。つまり、運動する動機には2種あって
- できないことをできるようにしたい
- 運動すること自体が楽しい
といったところでしょうか。これは好みがあり、どちらが上というものではありません。
しかし、体育では①重視でできない生徒は評価が低いということもあり得ます。
でも、運動を続けることを評価する必要もあるでしょう。
詳しくは後述するとして、まずはこの4象限でカリキュラムを組んでいきたいと思います。
「indoor 室内」と「outdoor 屋外」

まずは、「屋外」と「室内」でできることを整理していきましょう。
室内
これは1畳でできることを想定する必要があるでしょう。
部屋の大きさに関わらず取り組めるように教師側が配慮すべきです。
また、マンションによっては「振動が・・・」という可能性もあるので、
ジャンプさせたりドタバタ感のある種目は避けたいところです。
メリットは何といっても、「やろうと思えば、すぐできる」というところ。
ポイント
- スペースは1畳
- 音がうるさい運動は避ける
- すぐ取り組める
室外
公園や家の前にあるスペースを想定します。
どんな地域に住んでいるのかで質が変わってくるので柔軟な評価が必要。
四季の移り変わりなどを感じながら運動することが可能なのがメリット。
ボールや道具などを使った運動も可能になります。
ただし、車や人など危険な面を十分考慮して課題を作らなければいけません。
ポイント
- 地域の資源を有効活用する
- 四季など、変化を楽しむことができる
- 道具を使った運動など可能である
- 危険に留意した課題設定
「task 課題達成」と「log 運動習慣」

「task 課題達成」と「log 運動習慣」ということですが、さきほども書いたように運動をする欲求には大きく分けると2つあります。
- できないことをできるようにしたい
- 運動すること自体が楽しい
というもので、片方だけの人もいるし、両方持ち合わせている人もいるでしょう。
体育の授業というのは①中心で評価してきました。たいして上手くもない教師に、ちょっと練習しただけでテストさせられ「できた・できない」を判断され評価される。
しかも基準はあいまい。(だって専門家でもないから)
もともと運動神経いいかどうかやん。。という声が聞こえてきそうです。
2限目でも5限目でもお構いなし。持久走を食後にさせられる地獄。。。
まあある一定は仕方ありませんがそれだけになってしまうのはいけないと思います。
そこで「課題達成」に加えて「運動したこと」をしっかりと評価するようにすべきと提案します。
task 課題達成
2年前に器械体操の授業を「自分のやりたい種目を自分のやりたいタイミングで、自分がやりたいだけ取り組む」という目標を掲げて取り組んだことがある。
体育のスポッチャ化である。
それぞれの場を準備し、ルールとマナーを設定する。その中で、自分が取り組みたいことを行う。
(当然、それまでの学年で一通りやっているということが前提である)
その時に使った課題はこれです。

必ずペアで取り組み、他者評価で進めていきます。最終的にポイントを総計します。

これは冊子になっていて、中にはすべての課題の解説、ポイントが書かれています。
基本的にはこの冊子があれば教師の説明はいらないですが、「壁倒立がどうしてもできない人は集合!!」って感じで時折、集めたりしました。
思っていたよりも生徒はノリノリで取り組んでくれました。
教師はプールの監視員ぐらいの感じで見守ることを意識していました。
なにが言いたいかというと、このように課題を与え、達成ごとにポイントが増えるということが「見える化」されれば、リモートでも稼働するのではないかということです。
できたかどうかの評価はビデオ録画させて送信してもらい、こちらが評価するということで可能です。
手間はかかるかもしれないですが。。。
ポイント
- 課題と評価の「見える化」
- 内容と基準を明記する
- データ送信でこちらが評価
- 手間かかる(?)
log 運動習慣
運動することが大切であるということを教えていきます。
みんなで踊ったり、ひとりで走ったりすることもいいでしょう。
ポイントは「記録、結果にこだわらせない」ということ。
タイムにこだわるとどうなるか。
赤信号を止まらなかったり、後方不注意になったり事故の可能性が出てきます。
ゆったりと自分のペースで運動を行うようにすべきです。
運動が苦手な人からしたら、結果を求められるのは辛い。
でも、この取り組みによって運動に対する苦手意識もなくなるかもしれません。
記録はアプリでログし、データをスクリーンショットして送信すれば完了。
画像な分、こちらの手間は比較的楽になります。(経験談)
また、ZOOMで参加していればオッケーです。
ポイント
- 運動すること自体が大切
- 記録は求めない(安全第一)
- 運動データを送信して完了
- ZOOMの活用
- 運動が苦手な人でも高得点が狙える
リモート体育カリキュラム

これまで考えてきた要素を踏まえて、具体的にどう取り組むか考えてみましょう。
室内×task
これは課題の冊子を配るか、PDFを配信し、ひとつずつクリアしていくように取り組みます。
取り組む内容は
- 筋トレ
- 柔軟性
- ヨガ
- ダンスなど
といったところでしょうか。ダンスはうるさいと苦情の可能性があるとしても、そのほかの3項目は十分可能です。
しかも情報は山ほどあるので課題作りも簡単です。
在りモノを転用することもアリでしょう。
大事なのは「一覧にすること」「基準が明確であること」「評価が見える化している」ということです。
室外×task
ここは課題を指定してもいいですが、本人に任せてみるのも面白いかもしれません。
- なわとび
- ダンス
- スケボー
- 各部活の自主練習(リフティングや素振りなど)
大事なのは「なにかの技」を成功させること。自由度があるのでどんな技を成功させても得点は一律にし、上限を設けることで「簡単な技の連発で高得点」「各種目の基準値の不平等」という混乱の元を防げるでしょう。
室内×log
これはZOOM活用の授業になりそうです。
- ラジオ体操
- 筋肉体操
- ビリーズブートキャンプ
- サーキットトレーニング
などをみんなでやればけっこう楽しく運動できるはずです。
細かいことを気にせずにテンション高く体を動かしたいですね。
基本的に出席していれば評価したいところです。
室外×log
これは昨年度の持久走で取り組んだのでできることは証明済みです。
これをもう少し拡張して取り組むことも視野に入れたいところです。
自分が使っているスマートバンドはランニングの他にサイクリングやウォーキング、ワークアウト、水泳のトラッキングが可能です。
つまり、いままで取り扱えなかった種目も評価しようと思えば評価できる時代になっているのです。
つまり対象となる種目は上記してますが
- ランニング
- ダッシュ
- 水泳
- サイクリング
- 一輪車
- ローラースルーゴーゴー
- 竹馬
と多種多様です
しかし、屋外で記録を求めると事故の危険があるので「運動したこと」を評価することを強調したいところです。
つまり「種目」「距離」の二つが評価基準でいいと思います。
ランニングなら3キロ以上、サイクリングなら6キロ以上、竹馬なら1キロ以上とかを設定してあげればいいでしょう。
まとめ
- 在宅でもいろいろできる
- スマホ依存は避けられない
- 「屋内×task」「屋外×log」が軸で評価基準も作り込む
- 他の2つは取り組んだことを評価する
というかんじでしょうか。
勤務校はデバイスを全員支給で、クラッシーとグーグルクラスルームという二つのプラットフォームが完備されているので比較的取り組みやすい環境にあります。
そうでなければ不可能なものがあるかもしれません。
でも、ポケモンGOによって引きこもりから抜け出したひとがいるように、デバイスの力、コンテンツの力をうまくいかして運動習慣を身につけるようにしていくのも教師の仕事だと感じています。
まだ、やっていないことも多く机上の空論なため実際に取り組んだときに問題も生じるかもしれません。
でも、それをクリアしていくことで現状を乗り越える体育の授業となる可能性があるので挑戦したいところです。
ぜひ皆さんの取り組みや考えを教えていただきたいものです。