こんにちは。ホケンタイイク246です。
体育教師として10年ほど、現在の勤務校で3校目。その勤務先のカリキュラムでは武道は「剣道」が採用されていました。
野球や水泳などの経験はあれども武道は授業でしかやったことがありません。
しかも、自分が入学した高校は武道は「柔道」しか行われなかったため、生まれてから竹刀は一度も振ったことがない状態です。
でも、4月から「はい、授業お願いします。」と言われるわけです。
必死に剣道部の顧問の先生に基本的なところから教わり、竹刀を借りて個人的に練習しました。
剣道部の先生の授業を本当に全部見学させてもらい、すべてパクるという教材研究の方法を採用しました。
そんな自分を面倒くさがらずに「ええよ」「大丈夫。大丈夫」といろんなお願いを快く引き受けてくださった先生にいまでも感謝しかありません。
自分は運よく、そのような先輩に恵まれたわけですが、体育教師の中には「未経験、頼れる先輩がいない」という状況の先生方もおられるのではないかと察します。
何回かに分けて「未経験者でも成立する剣道の授業」という感じで書いていこうかと考えています。
今回は、1年を通じて何を行うか見通しをつけましょう。
この見通しがあれば説明も「この動きができないと、このあとの正面素振りで苦労する」という感じで具体的になっていきます。
冒頭の画像(ペライチ)にまとめているのでぜひ参考にしてみてください。
目次
- 竹刀なし
- 竹刀あり
- 防具あり
- まとめ
竹刀なし
礼儀作法
まずはここからです。
- 正座 右座左起
この文字をみてピンとくる人は大丈夫です。
ピンとこない人は勉強しないといけません。
でも、それでいいのです。
いま、日本にある「礼儀正しい行いや振る舞い」というのは小笠原家・今川家といった武家の習わしがベースになっています。
そこには意味があり、マナーがあるのです。
動作の奥に隠された意味を解説しながら指導することで、立派な授業になっていくわけです。
ここで、しっかり指導しておけば「そんなことしてたら斬られるぞ」と”それは間違っている”という指摘の表現がより豊かになるので授業の雰囲気も良くなっていきます。
「体さばき」
体さばきとは竹刀なしでできる動きです。経験者は色んな引き出しがあるのかと思いますが、未経験者はまずこの3つを抑えましょう。
- 足の構え
- 足の動かし方
- 手との連動
これができれば十分です。
まず自分ができるようになることが大事です。迷わずやってみましょう。
できなかったら、その時の気持ちや感覚をメモしておきましょう。
それが指導の時のフレーズに豊かさをもたらします。
できない人の気持ちや感覚を知っていることが未経験者の武器になります。
竹刀あり
これは体さばきができれば問題なくできます。
大丈夫です。
礼儀作法と体さばき、正面素振りまでで1か月ぐらいあるので、その間に左右面や踏み込み面の練習を進めておくことをお勧めします。
2人1組
2人1組での正面打ちは、それまでの打ち方ができていれば問題ないかもしれません。
でも、注意事項をしっかり守る雰囲気がないとケガや事故が懸念されます。
ゆえに常に緊張感をもって取り組みましょう。
- 振るべき時に振る
- どちら側が先に振るか確認
- 打つ強さ
など、守らなければケガや事故につながりそうなことはしっかり伝えましょう。
自分は「慣れてきたときが一番怖い」ということを毎週のように言っていました。
「無事これ名馬なり」とはよく言ったもので、
- 危険なものを安全に扱う。
- お互いに呼吸を合わせて行う。
という経験が「餅つきのコンビネーション」「タンスを2階に運ぶ」「バックで車を運転する、後ろに回って『バックオーライ』と指示をする」などの他者との協力なしにできないこと、加えてどちらかが集中力を切らしたらお互いにケガする可能性があるという場面において必要な集中力の修養になると信じて指導しましょう。
防具アリ
これは、しっかりと覚えておかないと授業で地獄を見ます。
生徒で「できる」「できない」の差が激しく、時間差がかなりある印象です。
特に面は息苦しく、面をつけたところで打たれたら普通に痛い。
はじめは授業全体が浮つくと思いますが、冷静に対処しましょう。
できる技が増える
防具をつけることで、それまでできなかった
- 胴打ち
- 小手打ち
が使えるようになります。
試合も可能になる
防具をつけて、打つ受けるができる
なおかつ、落ち着いて授業ができる
ここまできてはじめて試合が可能になります。
逆に言うと、打つ受けるもできないうちから試合はやめておいたほうがいいでしょう。
注意事項
先ほども書きましたが、大事なことは一つ。
「無事これ名馬なり」です。
怪我なく終わることが最優先課題です。
生徒が扱うのは「竹刀」。木製ですが刀であることは間違いありません。
母性の指導は「できないことに対して寛容であること」にたいして行い、
「振るべき時以外で振ろうとする」場合は父性の指導を迷いなく行うべきです。
それができれば、授業を重ねる中でどんどん良い授業が出来上がっていくと思われます。
まとめ
本当に自分は先輩に恵まれました。
授業を見学させていただき、それを再現するだけでよかったので。
その環境にない先生は、やるべきことをハッキリさせ、逆算して一つずつ確実に進めることがいいかと思います。
はじめはうまくいかないこともあるかと思いますが、それすらも楽しめるメンタルで頑張りましょう。
自分自身がやってみて、できない理由を探していく中で、指導する語彙が豊かになるという繰り返しでここまで来たと思っています。
未経験で大変な思いをされている先生もいるかと思いますが、だからこそできる指導もあるはずです。
生徒のために汗をかきましょう!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。