こんにちは。ホケンタイイク246です。
先日、このコロナ渦における修学旅行を終えました。
6月に入ってからゼロから動き出した修学旅行。文化祭に体育祭に研究授業という負荷モリモリの2学期の中、なんとか実施まで漕ぎつけ、「離断者ゼロ」「時程通り(生徒の就寝時間以外)」を無事達成することができました。
今回、修学旅行の準備を急ピッチに進める中で“重要なポイント”を反省の意味も込めて、皆さんと共有できればと思っております。
3学期以降に修学旅行を行う学校も多いようで、参考にしていただければと思います。
目次
- 場所選び
- 下見
- ★食事対策
- 検温
- もし体調が悪くなった場合の対応
- お金
- 普段の指導
- 栞
場所選び
まずは場所選び
通常では「海外」が選択肢にあるような学校でも、
この状況下では不可能に近い。
ゆえに国内となる。
次に考えるべきは「移動手段」
実はこの状況下において、場所選びは移動手段をどう考えるかで縛られてしまう。
- 飛行機
- バス
- 電車
この3つの中から選ぶことになる。
今回は飛行機を使う場所を選択したのだが、理由は「密室にいる時間が一番短いから」
それを「何かあった時に親が駆けつけやすい」ということを最優先にする学校は電車になるだろう。
飛行機はかなり不安視する保護者もおられた。
そこは学校、学年で話し合い、最優先課題を整理し、場所を決めることになる。
下見
場所が決まれば「下見」が重要である。
これはアクティビティがどうだとか、学習する場所がどんなところかなどは大事だけど、重要度は2番目以降である。
最優先課題は「検温」「食事」であり、ミーティングのほとんどは「食事」で終わる。
- 通常、ホテルはどのような対策をしているのか。
- 本来は何人入るところを対策をするとどれぐらいの人数を入れることが可能なのか。
- 対策に他のプランはないのか。
- それぞれのプランにおいて、時間はどのように回すことが最適なのか。
- 他の観光客の人はいるのか。いる場合はどんな制限があるのか。
- セットメニューならどれぐらいのボリュームと用意に時間がかかるのか。
- バイキングならどんな対策をしなければならないのか。
- スタッフはどこまで手伝ってくれるのか。教員は何をしないといけないのか。
- もし半分はホテルで食事で、もう半分は別の場所で食事という手段にしたらホテルは受け入れてくれるのか。
こんな感じでひたすら対話をしまくり、「ここではこんな対策をしていたけどこのホテルでもやってほしい」とか注文つけまくり、A〜Cプランにまとめる。
正直、食事の時間と回し方が決まらないと、他が何も決まらないのが修学旅行の栞である。
- 食事の時間に合わせて昼間の体験の時間が決まる。
- 食事が決まらないとアレルギー調査をしようがない。
- 食事が決まらないと風呂に入るタイミングも決まらない。
- 食事の感染症対策が決まらないと保護者の不信感は拭えない。
これが実状であり現実。つまり食事対策をホテルととことんやり合う覚悟で臨まないと後になって泣くのが自分である。
「状況がどうなるかわからないから」
とか甘いことを言っていてはいけない。家族旅行とは違う。
保護者集会で説明するときにすべて言えるようにしておくのがミッションである。
★食事対策
ホテルと刺し合うぐらいの覚悟で話し合いをした後、
修学旅行の1ヶ月前、体育祭1週間前に行われた保護者集会に間に合うように食事をまとめる。
ポイントは2つ
- 自由食を認めるか(学校が許可しなかったので、管理下で食事となった)
- 各食事場所での対策の明示
自由食を認める場合は、どこで何を食べたかを記録させたり、事前指導が必要になるだろう。
「教員の管理下での食事」がマストになったため、生徒の楽しみと移動時間が取られるせいで体験の時間が削られたが、対策はやりやすくなった。
その上で保護者集会で配布した資料が下になる。

すべての食事の場面で、何を対策しているのかを明示しておく。
これに納得できるかできないかは保護者に委ねる部分であり、そこは強制するものではない。
それと同時に、教師のマンパワーも有限であり、できることにも限界があることをご理解いただくしかない。
だからこそ「教師がやること」「ホテルが取り組むこと」「生徒にやってもらわないと困ること」を整理して説明する必要がある。
検温
検温は1日2回は行うのがマスト。
朝の起床時とホテルに帰ってきた時になった。
基本的な流れはこうだ
- 検温
- 検温用紙に記入
- 保健担当が保管
- コピーをホテルに提出
この流れを1日2回行うのがコロナ渦の修学旅行である。
ホテルに戻ったらホテルの従業員に3〜4人出てきてもらい検温してもらった。
これは非常にスムーズで、ホテルで修学旅行を行う学校はぜひ検討してほしい。
すべて自分で検温させていたら、隠れ発熱を炙り出すことは難しい。
もし体調が悪くなった場合の対応
飛行機なんかはホームページで対策が明示されているので、それを使えばいい。
でも体験が始まってからの対応はなかなか載っていない。
そこで、自作したフローチャートを用意して保護者集会で説明した。
(生徒には保健の授業で説明した)

- 基準は37度5分
- 陽性になると2週間入院
- 2週間は誰とも接触できない
- 教師が残っても無意味。保護者が来ても無意味。
- ただし、保護者が現地に来て、滞在する費用は保険で負担される
- すべては保健所が判断。事前には説明できない部分がある。
これでかなり理解は得られたのだが、盲点があり、そこをキッチリ突かれ、後手後手の対応をすることになった。
「濃厚接触者」になった場合が厄介
今回は保険に4種類入ったんだけど、「濃厚接触者」に認定された場合に適応される保険が存在しない。
そこをわかっていなかった。
濃厚接触者になるとどうなるのか
- 2週間の自宅待機
- 学校や会社に行けない
- 公共交通機関を使えない
でも、修学旅行先に自宅などない。
公共交通機関を使わない場合、どうすればいいのか?
自分でホテルでをとって滞在することになり、その費用はすべて自費になる。
しかも「濃厚接触者」を受け入れるホテルなどあるのか。
さまざまな不安がある中、学校側の対応はこうである
- 自費でPCR検査を受ける
- 陽性なら2週間病院
- 陰性なら帰宅
- 検査結果が出るまでは自費でホテル
という紙を追加で出した。
本来であればここまで明示して説明会を行わなければいけなかったが甘かった。
お金
お金のことは、不明瞭ではいけない。今回はそれまでの宿泊行事とは異なる
- Gotoトラベル
- 地域クーポン券
この2つの施策が修学旅行にも適応される。
Gotoトラベル

Gotoトラベルは旅行代金が減額されるので、その料金を明示すればいい。
自分の学校ではその浮いたお金をバスをチャーターし6クラスに対して12台のバスを手配した。
「金はあるけどバスがない」という危機もあったのだが、無事手配でき、1人2席というゆったりスタイルとなった。
ちなみに「現金が後から返金されますか」という電話がいくつかあったのだが、それはキャンペーン前に予約した旅行が対象であり、実施後の予約に関しては事前に引かれているので、これも事前に伝えておいた方が混乱は少ない。
地域クーポン

旅行代金に対して支給される地域クーポン。取扱店にいけば、このチケットで商品を購入したり食事をしたりしできる。
この取扱店は事前に「地域クーポンに賛同者の講習」なるものを受け、国の基準に見合う取り組みを行うことが条件で取り扱い店として商売をしている。(国のチェックが厳しいらしい)
それゆえにこの取扱店は比較的安全な店であると保証しているようなもので、これを根拠に最終日に自由食を試みようとしたが却下された。
これは学校の判断なので仕方がない。
しかし、地域クーポンを取り扱いしている店が裏でどのような取り組みをしているのかは知っておいた方がいいし、生徒の学びにもなる。(だからこそ、そのような店にお金を落としたいのだが。。。)
今回は生徒一人当たり1万円以上が支給され、アクティビティの費用に当てたり、生徒にお小遣いとして5000円を配布した。
受領書
ここを校長に怒られたのだが、受領したことを生徒に名前を書かせればいいと思ってクラスの短冊を持っていったのだが甘かった。
ちゃんと一人ひとりの領収書を作っておくのが常識らしい。
そんなこと考えもしたことがなかったので知識不足としか言いようがない。
大事に至らず、命拾いした。
同じ失敗を皆さんはしないように、面倒臭いけど作った方が身のためです。
普段の指導
旅行者の人には「こんなにマスクをちゃんとつけている学校はないです」と言われたのは率直に嬉しかったんだけど、普段の指導以外何ものでもない。
指導と言っても2種類あって
- マスク着用の指導
- 修学旅行中に感染者が出たらどうなるのかという指導
この2つを常日頃から行ったからだと思う。
特に自分は保健の授業で「感染症の指導」という名目で修学旅行での感染症予防対策について毎週のように話していたことが効いていたと思う。
学年全員集めて説明会するよりも、毎週毎週、少しずつポイントを絞って説明した方が聞いてくれるのは容易に想像がつく。
コツコツ進めることが何よりも強力だと改めて感じた次第である。
栞
しおりに大事なのは何か?
- 正しい名称
- 正しい住所と電話番号
- 正しい出発時間と到着時間
飛行機の便や宿泊先の連絡先などなど。
保護者は何か心配になったら調べるし、電話する。
何に心配するかなんて予想不可能。
大変なのは100も承知。
行程表はズレる時はズレるし、修正するときは修正する。
それよりも、緊急時に連絡が取れるようにしておいたほうがいい。
最後に
長いようで長い6ヶ月の戦いが無事終わった。
旅行会社の担当者が有能すぎて、4日間まったく時間のズレがなかったことや、
多岐のコースに分かれることとなったにもかかわらず超絶わかりやすい栞を作ってくれた同じ担当の先生、
俺は保護者会で喋り、管理職にお伺いを立て、いろんな先生や旅行者との連携に走り回った
同じ学年団の先生はとにかくフォローしてくださり、時間に間に合うように早め早めの注意を促してくれたり、
普段からもねぎらいの言葉をかけてもらった。
生徒も自分だけが楽しむのではなく、全体に迷惑がかからないような意識が行動からも垣間見ることができた。
本当に旅行者と学年団の先生と生徒に助けられた修学旅行になった。
全てが終わり、学年主任と旅行者と自分で飲んだ酒は一生忘れないね。
授業が再開し、体育をするとき生徒から
「いい思い出になりました。ありがとうございました。」
と言われた俺は泣きそうになったね。
大変で、2度とやりたくないけど、頑張って良かったと思える修学旅行になった。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。
明日からも生徒のために汗をかきましょう。