【漫画で保健の教材研究】『さよならブラック企業』退職は逃げですか?

保健の授業

こんにちは。ホケンタイイク246です。

保健の授業を担当していて、働き方と健康について取り上げる。

教科書に取り上げられている『労働災害』は、現場の作業中の事故であったり、パソコン作業を長時間つづけることで目や腰などが疲労するというようなものになる。

たしかに、働くことで起こる病気や障害であることには違いない。そのようなことが起きないように安全管理や、健康管理をする必要がある。

しかし、社会で問題になっている労働災害はそれだけではない。『過労死』という言葉が多くの人に知られているように、多くの人が仕事に疲弊し、中には心身症を患う人もいる社会問題がある。

授業では、教科書の内容だけでなく『さよならブラック企業』という漫画を題材に、

「人を追い詰めてしまう職場の現状」

「仕事を辞めたくても辞められない人」

「退職代行というサービスがなぜ存在するのか」

などを学び、『なぜ、人は働くのか』『どのように対処しなければいけないか』などが想像できるような授業をしていきたいと思う。

目次

  1. 朝礼・掛け声
  2. 成績発表
  3. やめたいけどやめられない人
  4. 辞表を受け取らない経営者・上司
  5. 退職代行という仕事
  6. さいごに

①朝礼・掛け声

この漫画では、主人公は大手不動産会社の電話営業代理店会社で働く25歳の女性。

コールセンターで働くアポインターである。

「朝礼」から始まる

出勤すると始まったのは朝礼。従業員が横2列に並び、手を後ろに組む。統括リーダーが音頭をとり「今日も一日はりきって営業かけていきましょう!!」と発生した後、全員で手拍子と「はいっ!!」と声を合わせる。

社員を団結させるための異様な慣習が繰り広げられるが、そんなことを行うには理由がある。

発声は自分の脳に作用する

自分の言ったことや、考えたことは周囲の人間ではなく自分に作用する。

朝にこうしてみんなで社訓や目標を一斉に言うことで、社員ひとりひとりが「やるべきこと」「目標」を脳と体に覚えさせることができる。

それは、経営者側としてはいちいち注意しなくていいので効率的な運営にもつながる。

主体性がないと奴隷になる

効率的な運営につながるかもしれないが、従業員側は油断してはいけない。なぜなら、知らぬ間に奴隷となっているかもしれないからだ。

この漫画に登場する退職代行を依頼するような人は、総じて人がいい。素直な性格で、真面目である。

頑張れと言われれば頑張るし、

努力が足りないと言われれば、さらに努力する。

言われたことには忠実な勤勉性があっても、今の状況を客観的に捉える思考力と言語能力が乏しいと悪い環境でも言われるがまま働き続けてしまう。端的に言うと、奴隷になりやすい。

真面目で一生懸命な生徒は学校ではウケがいいが、社会は残酷。真面目で一生懸命な人を食い物にするような輩が世間にはウヨウヨいることを知っておかなくてはならない。真面目で一生懸命なだけでは歯車になって使われるだけだ。

一流は主体的。言語能力も一流

たとえば、学生であっても甲子園に出場するような選手は5万人の観客がいても冷静にプレーできるし、試合後には記者に囲まれ、全国放送されていてもインタビューでしっかりと受け答えができる。

あなたは5万人の前でなにができるか。

あなたは記者に囲まれ、全国放送されている状況で、何が話せるだろうか。

彼らは体を鍛え、技を磨くだけでなく、状況ややるべきことを「言語化」するトレーニングも積んでいるのである。

一流の選手ほど、自分だけでなく周囲のこともよく見えている。それだけでなく自分が活躍するために何をすべきか考えて行動できる。言われるがままではなく、主体的に動くことができるのである。

じゃあ、自分なりに考えてみようといっても問題は簡単ではない。

考えさせないブラック企業

ブラック企業がブラック企業足る所以は「考えさせない」ようにするノウハウが詰め込まれているから。

その一つがあからさまな成績発表である。

②成績発表

朝礼では発声や手拍子だけでなく、成績発表も行われる。この成績発表は本当に性格が悪い。

トップの成績を残した人には賞賛があり、金一封が手渡される。ここで「みんなも彼のようにがんばってください」と一言添えて終われば、表彰式で終わる。問題はココからだ。

なんと最下位の発表も行われ、統括リーダーから全従業員の前で成績を晒されるだけでなく、「これで3か月連続でワースト1位でしょ!!これじゃ給料泥棒だよ」と罵られる。

これは精神的にキツイ。

誰もかまってられない

このような会社では、彼のような存在は「明日の自分の姿」でもある。罵られる人を助ける余裕がない。

だから、だれも手助けしてくれない。精神的にどんどん追い込まれていく。

じゃあ、努力して成績を上げようと思っても、そうはいかない。

神リストとカスリスト

神とかカスとかは、この漫画の表現なのだが、成績がいいと契約がとりやすいリストが回ってさらに稼ぎやすくなる。しかし、成績が悪いと散々営業がかけられた使いまわしのリストが配られ、抜け出せない負のスパイラルに陥る。

一度ハマってしまうとどん底からは抜けられず、プレッシャーだけが強くなる。もう、この状況からの逆転は難しい。心身が病んでいくしかない。早くやめるのが得策だ。

「やめたい」でも、「やめられない」ひとが多い社会のリアル。なぜ、どうしてなのか。

③やめたいけどやめられない人

この世には仕事をやめたいけれどやめられない人がいる。そして、それは珍しいことではない。自分も今の職場をきょう辞めろと言われても困る。一家が路頭に迷うからだ。

それだけではなく、日本の企業文化はプロ集団ではなくて家族のような集団。ドライな契約でつながっているのではなく、情でつながっている。だからこそ「迷惑をかけたくない」という気持ちが沸き上がり、やめる勇気がでない。

いや、あんたを使い倒して苦しめている存在に迷惑もなにもないだろうと思うのは第三者だから。素直で真面目な人ほど「こんないいところもある」と残る理由を探し始める。

「いつか報われるはず」そう願いながら頑張る人には、登場人物のひとりで退職代行で働く不知火の言葉が必要。

いずれ報われるなんて考えは・・・

自分を殺すことになる

(中略)

人生の選択肢は無限にあるんだよ

さよならブラック企業1巻

逃げではなく、選択。勇気ある選択も時には必要である。

でも、勇気ある一歩を踏み出そうと辞表を書いても、受け取ってくれない経営者や上司がいるからこの世の闇は深い。

④辞表を受け取らない経営者・上司

「罪を憎んで人を憎まず」という言葉の根底には、生まれつき悪い人はいないということがある。

はじめからブラックな企業はないし、はじめからパワハラをする上司もいない。それぞれにそれぞれの背景がある。

不景気を生き残る

企業は稼がないと潰れてしまう。なんとしても稼ぎ続けないといけない。

そうなったときに仕事を知っている人が抜けられると、8人で野球やれと言ってるようなもんで大変苦しい。だからといって野球初心者を入れても戦力アップどころか育成に手間をとられるので全体の効率まで落ちる。なので現有戦力で何とかしたい。

こうして、なんとか残って欲しいので辞表を受けいれないことを慰留ハラスメントという。

また、「働き方改革」「リモートワーク」など叫ばれて久しいが、いままでのやり方を変えられずにいる企業も少なくない。変えることによって事業が傾くことが怖い。あるいは経営者が変化を好まない場合もある。

経営者には経営者なりの考えやこだわりがあって全体の生き残りをかけている。小学生のいじめとは少し違う。

だからといって、心身を疲弊させてまで働く必要はない。従業員にもやめる権利というものがある。残ってほしいのならば職場改善に全力を注ぐべきで、それをせずに残ってほしいというのは筋が違う。

このような経営者や上司相手に一般従業員が交渉するには難しい。そこで第三者の手助けが必要になる。

⑤退職代行という仕事

退職代行の仕事は依頼者である仕事を辞めたい人と会社の間に入って、退職業務を進めること。

情が入らない

退職代行に依頼する人の多くは会社を辞めることを申し訳ないと思っている。

だからこそ「未払いの給与」や「残っている有給」を請求することができないし、「退職理由」を聞かれたら、正直に答えることもできない。

退職代行の弁護士であれば、そんな情は入らない。依頼主の権利を守るために、淡々と交渉をする。経営者側も法律に則り対処する他ない。

脅しが効かない

「辞めたことで出る損失に対して損害賠償を請求する!!」と言い出す人もいるそうだが、誰かが休んだり抜けたりしても回るようにするのが管理職の仕事。そんなこと言うのは「私は管理職としての能力がありません!!」と宣言しているようなもの。

実際に損害賠償を請求されるようなことは少ない。わざと成績を落とす人はいないからだ。

こうして法的に問題なく、退職手続きを完了することができる。

じゃあ次はどうするのか。その選択はあなた次第。

⑥さいごに

退職代行という仕事は社会の弱者を法的に守る非常に重要な仕事であると思う。

「辞めるぐらい自分で言え」と言いたい人の気持ちもわかる。

でも、言えない人の気持ちを社会の方も汲み取れなくてはいけない。

退職代行の費用数万円は安い

辞めたいけど辞められない人にとって退職代行にかかる費用は安い。(この漫画を監修している業者は6万5千円〜)

なぜなら、心身ともに壊れてしまったら動き出すことは大変難しいからだ。お金さえ払って、リスタートできればそのお金は1ヶ月で回収できるだろう。そう考えた時に、使わない手はないと思えてくる。

知らないは怖い

あらためて考えさせられるのは「知らない」という事の怖さだ。法律を知らないと、自分が異常な環境で働かせられていることにも気づけないし、もらうべきお金がもらえてないことにも気づかない。それに退職代行という手段も知らなければ利用できるない。

「そんなに辞めたいないら退職代行を使え!!」と教える経営者はいない。

授業で取り上げる事の意味は、生徒に逃げるための選択肢を増やすことでもある。

人生は選択の連続

アラームが鳴って、起きるのか起きないのか

パンにバターを塗るのか塗らないのか

人生は選択の連続である。

選んだからにはルールやマナーを守らなければいけない。それが嫌ならルールを作る側に回ればいい。

これはドラゴン桜という漫画で語られていた論理だが、誰しもがルールを作る側に回れることはないだろう。

一つの恋愛がうまくいかなかったとしても、次の恋愛をする人が多いように、

一つの就職がうまくいかなくても、次の就職をすればいいと思う。

辞めないことよりも、生き続けることが大事。

そのメッセージはいうのは簡単だけど、説得力を持たせるのは本当に難しい。でも、やるしかない。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

あしたからも生徒のために汗をかきましょう!!


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