【アニメで保健体育】『笑ウせえるすまん』で学ぶ”怠け心”

保健の授業

こんにちは。ホケンタイイク246です。

保健の教科書の範囲がすべて終わってしまったので、アニメを使って人生や心について考えていきたいとおもいます。

今回取り上げるのは藤子不二雄A先生の『笑ウせえるすまん』です。

人間の弱さ、醜さ、欲望を描き、終わりなき日常を生きる我々が抱く逃避したい幻想を打ち砕くストーリー。

そんな作品に触れることで保健の教科書でいうと〈欲求と適応規制〉〈ストレスの対処〉〈健康的な職業生活〉などと絡めて「自分の弱さとどう向き合っていくか」「どうガス抜きするか」など考えてほしいと思います。

取り上げる話はアニメでも漫画(Kindle版の1巻)にもある「ナマケモノ」です。

それでは始めましょう。ホーホッホッホ・・・

目次

  1. アニメの冒頭にあるお決まりのセリフ
  2. 佐保民夫「ナマケモノになりたい」
  3. 喪黒福造「ナマケモノにしてあげます」
  4. 彼は幸せなのか

アニメの冒頭にあるお決まりのセリフ

本作のアニメ版は、話の背景にあるものを写しながらお決まりのセリフから始まる。

この世は老いも若きも男も女も

ココロのさみしい人ばかり

そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします

いいえ、お金は一銭もいただきません

お客様が満足されたら

それが何よりの報酬でございます

この冒頭のセリフがこの物語が何たるかを雄弁に語っている。

では、何を語っているのだろうか。

「ココロのさみしい人ばかり」

喪黒が語る「ココロのさみしさ」とは何か。

それは、終わりなき日常を生きている中で現実に対して疲れた状態だ。

そのココロは今にも折れそうで、なんとか持ちこたえているにすぎない。

そんな彼らは「こうありたい」という自己幻想を抱くようになる。

「ココロのスキマ」

現実に疲れた人たちは「楽になりたい」「モテたい」「怠けたい」「稼ぎたい」「成功したい」という自己幻想を抱くようになる。そして、現実ではなく自己幻想に囚われていく。

こうして現実と自己幻想の間にできるのが、喪黒の言う「ココロのスキマ」だ。現実から逃げたい。幻想を実現したい。そんな理想と現実のギャップにココロが引き裂かれそうなところに喪黒は現れる。

「スキマを埋める」

喪黒はココロにスキマがある人に近づき、「自己幻想を実現させましょうか」と誘惑する。現実に疲れ切った人たちは自己幻想に逃げるために誘われるがまま行動を起こす。

「スキマを埋める」とは、現実と自己幻想のギャップを埋め合わせるということである。それはセールスマンの本質でもあり、人が没落していくパターンでもあることは本作を知っていくうちにわかるようになる。

さて、今日のお客様は?

今回、没落していくのは仕事中にも関わらず、動物園でナマケモノを羨ましそうにみる男性だ。

どんな形で没落していくのだろうか。

佐保民夫「ナマケモノになりたい」

不動産会社で働く佐保民夫。(年齢は漫画とアニメで違う)

彼は営業成績は最下位で一つも契約を取れないダメ社員。家に帰れば奥さんと同居する姑の軋轢、苛立つ奥さんのとばっちりを受ける娘というとても安らげる状況ではない家庭環境が待っている。

彼はそのような状況を「何とかしたい」という努力を放棄している。セールスにも粘りがなく、簡単に諦め、家庭のいざこざにも逃げるように寝てしまう有様だ。

彼は仕事や家庭など生きていく上で必要なことから目を背け、サウナに入り浸る。

「こうやってナマケてるのがなによりの楽しみなんですよ」

「なにもかも忘れてねむるのがゴクラクだなあ」

この姿、「勉強する」といって机に座りつつスマホで遊ぶ中高生の姿とほとんど一緒である。親には「勉強しています」とアピールしつつ、目の前の勉強しなくてはいけないという現実から逃れている。その結果、成績は好転していかないのも同じである。

こんな調子の彼に喪黒は「ナマケモノになりたいですか?」と誘い、「ナマケモノになりたい!ナマケモノになりたい!」と呪術人形に念じ始める。

喪黒福造「ナマケモノにしてあげます」

喪黒は「ナマケモノになりたい」という彼の自己幻想を実現させる。その方法はここでは紹介しないが気になる人は漫画やアニメで確認していただきたい。

喪黒が行ったことは大きく2つ

  1. 会社をクビにする
  2. 家族と縁を切る

つまり、社会や人間関係から離脱させることで、働く必要もない家族を養う必要もない状況になった。

すべてを失うことによって、彼が夢見た「動物園のナマケモノ」のような生活を手に入れた。

彼はこれで本当に良かったのだろうか。

彼は幸せなのか

精神科でナマケモノのようにぶら下がる佐保さん。何をするわけでもなく牢屋のような一室でボーッと過ごすだけ。これは彼が求めてきた幻想ではあるが、それが実現した今に何を思うのだろうか。

喪黒は精神科からの帰り道にこう言い残す。

辛い立場に立たされると現実から逃れ

夢の世界に逃避したくなるのは人間の弱さでしょうか

しかし、本当のナマケモノになった今、

彼はいったいどんな夢を見るのでしょうか

人には理想がある一方で現実もある。理想を実現させるには現実を少しずつ変えていくしかない。

例えば、大学受験で言えば志望校があり、その大学での生活やその後の人生をいくら思い描いたところで、日々の勉強を疎かにしていては理想に対して現実が追いつくはずがない。

だから理想を持つことが悪いわけではない。人の文明がここまで発展したのは、まずはじめに理想を掲げたことに他ならない。

つまり、何が必要なのかというと

  1. 理想を掲げる
  2. 現実を知る
  3. 理想に近づくように努力する

この3ステップが必要になるということ。巷でよく言われるPDCAサイクルもこの発想に近い。

ベストを尽くして、自分を癒そう

そうは言っても、努力したからといって誰しもが理想を実現できるわけではない。エジソンだって「1%のひらめきと99%の努力」というように失敗の連続の中で、成功にだんだん近づいていくものである。

日々の努力は必要。でも、努力がすぐに実るわけではない。

実らない間は辛い現実があるかもしれない。そんな時に自分を追い詰めたり諦めたりしていては成功にはいつまでたってもたどり着かないし、精神的にキツくなる。適度に自分を癒すことも必要だ。

「あのエジソンだって失敗続きだった」

「ベストを尽くしたから、今日は少しゆっくりしよう」

そうやって自分を癒すことも生きていくには必要だ。

佐保さんのように「後ろめたさ」を持ったままサウナに行っても逃げているだけで本当に気分が晴れることはない。やれるだけセールスで頑張って、その後にサウナに行けば本当の意味で自分を癒すことができたはずだ。

もしくは、会社をやめて転職すれば自分に合う環境があったのかもしれないが、自分で動かない彼にはそのような現実は訪れなかっただろう。

人は現実を生きるしかない。そのためには理想を描くことも必要だし、辛い時には癒すことも必要。

そして現実から逃げようとしても、それは結局のところ現実を変えるしかないことを覚えておきたい。

彼は夢から覚めた時に何を思うのだろう。

こんな話を「働くことと健康」「ストレスの対処」なんかと絡めて授業で話すつもりです。中学生というよりも、高校生の方がいいかもしれません。少し刺激がないと印象にも残らないので、そのさじ加減が本当に難しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

あしたからも生徒のために汗をかきましょう!!

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