こんにちは。ホケンタイイク246です。
エンタメ保健体育として今日もマーベルコミックスを題材として勉強していきましょう。
このマーベルコミックス。カッコイイ、楽しい、感動する。それだけじゃない。
保健体育的視点でも最高の教材です。
今回はキャプテンアメリカ。

星条旗で全身を纏うこの男。
彼が、どのようにしてスーパーヒーローになったのか。
彼はなぜ戦うのか。
それを解き明かしていくと保健体育の「ドーピングとスポーツ倫理」の問題にぶち当たるから面白い。
本当にそんなことあるの?
それは授業でのお楽しみ。それではエンタメ保健体育をはじめましょう。
目次
- キャプテンアメリカの「愛国心」
- ドーピングの実態
- スポーツの魅力とは何か
- まとめ
①キャプテンアメリカの「愛国心」
虚弱児だったスティーブ
キャプテンアメリカ として戦う男の名前は「スティーブ・ロジャース」
愛国心の強いスティーブはアメリカのために戦いヒドラ(ナチス)を倒したい青年だった。
でも、とにかく体が弱かった。だから軍の試験に落ちてしまう。
スティーブはその現実に絶望する。でも、彼は諦めなかった。
超人血清
スティーブは軍の「超人兵士計画」に志願して、人間から超人になることを選ぶ。
彼は血清を打ち込むことで強靭な肉体を手に入れることができ、晴れてアメリカのために戦うことが可能になった。

この肉体を使って彼はヒドラに挑んでいく。
それこそがスティーブの願いであり、キャプテンアメリカ としての使命だから。
でも、彼はさまざまなことに苦しめられる。
それはヒドラの存在だけでない。もう一つの敵は自分が愛してやまないアメリカである。
利用される愛国心
彼は、軍が主導した「超人兵士計画」に志願したことでキャプテンアメリカ になることができた。
つまり「軍のおかげで戦わせていただいている」という構図が出来上がっている。
当然ではあるが、軍は都合のいいように彼を利用する。
彼には愛国心があり、恩義がある。だからこそ利用される。
これを『搾取』という。
キャプテンアメリカはヒドラと戦いながら「このやり方は酷いのではないか」「これは自分が愛したアメリカではない」とアメリカに対しての疑念を抱くことになる。
キャプテンアメリカの作品はアメリカのために尽くしたいけど、今のやり方には賛同できないというジレンマの中で戦う姿が見るものの心を揺さぶる。
それは社会の中で「搾取」の構造がいろんな所で存在し、声を上げられない「搾取される側」の人の心の痛みとスティーブの心の痛みが同じだからだ。
では、実際にどのようなことが起こっているのか。保健体育の教科書の中からピックアップして考えたい。
②ドーピングの実態
ドーピング問題
「ドーピング」という言葉を一度は聞いたことがある人は多いのではないかと思う。
アスリートが自分の能力を高めることを目的に、スポーツ連盟などでは認められていない禁止薬物をしようすることをいう。
ドーピングに使われる禁止薬物は身体能力を一時的に高めたり、筋肉の回復に効果があるのだが副作用もある。
副作用とは鬱・心筋梗塞・生殖能力の減少などがあり、ドーピングを継続的に使用していた選手は早死にしたり自分の足で歩けなくなったりする。
そのようなものを連盟も認めるわけにはいかない。だから、禁止してチェックをすることになる。
いたちごっこ
そのドーピングするアスリートと、ドーピングを見破る組織委員会は、ほぼ「いたちごっこ」の状態。
こうきたら、ああする。ああすれば、こうする。というような終わりのない戦いが繰り広げられている。
「そんな暇があったら練習しろよ」とツッコミたいのはよくわかる。自分もそうだ。
でも、アスリートにはアスリートなりの理屈がある。
それはアスリートは「勝たなければ価値がない存在」だからだ。
勝てなければ「名誉」も「金」も手に入らない。
生活ができるかできないかは、勝てるかどうかにかかっている。
だから、彼らはこう考える。
ライバルがドーピングをしていたら自分もやらないと勝ち目がない。
ライバルがやってなかったら自分がやれば有利になる。
どっちに転がっても「ドーピングをする」という発想につながる人たちがいるのだから恐ろしい。
海外のアスリートはチームの中に「ドーピング班」という部署があり、いかに検査をかいくぐってドーピングするかを日夜考えている人がいるのだから手に負えない。
もう、アスリートって最悪だなと思った人はちょっと待ってほしい。
君たちの身近にいるアスリートはそんなに心が真っ黒な人ばかりですか?
違うでしょう?
基本的には純粋で体を動かすことが大好きで、それを続けていきたい、もっと高みを目指したいという人たちには違いない。
彼らは「ドーピングをせざるを得ない」という状況に追い込まれている被害者の側面がある。
そう。キャプテンアメリカと同じように。
搾取されるアスリート
オリンピックに出場したいアスリートがいる。
そのアスリートはどのようにして代表に選ばれなければいけないだろうか。
タイムが速い?飛距離が凄い?
違う。
「各国のオリンピック委員会に選ばれる」ことで出場できるの。
メダルが多ければ多いほど「〇〇という国は凄い」とアピールできるオリンピック。各国は国の威信にかけて強化をする。
その各オリンピック委員会は、こう囁く。
「君、オリンピックに出たいの?じゃあ強化チームに入らなければいけない。入りますか?」
アスリートは選択の権利もなく、入るしかない。そして、この話は次の段階へ進む。
「君はこの国にメダルをもたらす存在だ。メダルを取れなければ価値がない。そこで、こちらが組んだトレーニングだけでなくドーピングもするんだ。いいね。もし、断るのであれば別の選手に代表になってもらうよ。大丈夫。指示通りにやればうまくいく。」
恐ろしい。まさに悪魔との契約。この条件を飲まなければ自分のキャリアは終わってしまう。
だから従うことになる。
ドーピングは体に非常に負担が大きいらしい。中には血を吐きながらトレーニングする選手もいるらしく、その現場を見た日本人選手は「あきらかにドーピングしてるなとわかる」とコメントを残している。
自分の夢をあきらめないためにドーピングに手を染めないといけない。なんとも可哀そうな話である。
キャプテンアメリカは戦う
- キャプテンアメリカは愛国心を国に搾取され、利用される存在
- ドーピングするアスリートは夢を国に搾取され、利用される存在
この構図は社会の色んな所にあり、部活のレギュラー争い、契約社員から正社員になるための雇用問題などなど上の立場にいるものが都合のいいように下の者を利用する。
その構図の中で戦う人はどれくらいいるだろうか。
「これは、おかしい」と言える人はどれだけいるだろうか。
キャプテンアメリカはそんな搾取の構図とも戦うからヒーローなのである。
すこしでも戦うための勇気を与えられたらこの映画は大成功なのだと思う。
③スポーツの魅力とは何か
搾取の構図と戦うかどうかは置いておいて、ルール違反は許されない。
それはスポーツの魅力を奪うからだ。
ルールがあるから面白い
スポーツにはルールがある。
このルールこそがスポーツの魅力を生む重要な装置なのだ。
どういうことなのか。サッカーを例に説明しよう。
サッカーにはルール上の制限がある。「手をつかえない」「敵がたくさんいる」「ゴールに入れないといけない」というものだ。
あのメッシはなぜスーパースターなのか。それは誰よりも自由だからだ。みんなうまく扱えないボールを足であんなに巧みに扱い、守備をあっという間に抜き去り、ゴールにシュートを決めるからだ。
つまり、制限があるなかで自分の技術・体力・頭脳を駆使して、自由を生み出す姿に感動する。
もし、ゴールの大きさが20倍になったらシュートを入れるのはたやすいだろう。そうなればサッカーで感動する人はいなくなる。
ルールは守らなくてはいけない。それはそのスポーツの魅力を支えているからだ。
ドーピングは感動を奪う
そこで、ドーピング問題を考えてみたい。
スポーツで勝ち負けを決めるときにフェアな条件でない場合、戦う必要はない。
本人に何割増しで力を与えたかわからない。本来は技術不足・体力不足を補うために練習するのに、ドーピングをしていると本人の努力が見えてこない。
よって、そこに尊敬は生まれない。
当然、感動も生まれない。
自分の応援している選手がドーピングしている選手に負ける様子を観たいと思うだろうか。負けないように「お前もドーピングしろよ」と思うだろうか。
「こんなインチキなものを見てもつまんねーな」となって、別のコンテンツに人は流れていくに違いない。
ドーピングはスポーツの魅力を奪う。そして人気を減らしてしまう要因になっていく。
スポーツはやっぱりフェアに戦うから感動できる。
④まとめ
開催の動向が注目されている東京オリンピック。
もし、開催されたとしても出場することができない国があることをみなさんはご存じだろうか。
それは〈ロシア〉である。
ロシアは前述の国ぐるみでのドーピングを行った国である。
その事実を、海外ドキュメンタリーを見て知ってはいた。
そのドキュメンタリーは自分では録画してあるのだが、みなさんに簡単に見てもらうのは難しい。
でも、同じ題材を取り扱った映画をネットフリックスで発見した。
https://www.netflix.com/jp/title/80168079
「勝ちたいか?じゃあ翼をやるよ」
そうやって渡された翼は栄光に近づけば近づくほど、ボロボロになっていき、最後は落ちていく。
アスリートの悲しい運命をぜひ見てほしい。
あなたは戦えるか
見て欲しいのは、アスリートに同情してほしいからではない。
あなたにもキャプテンアメリカのように戦ってほしいからである。
「搾取されるとこんな可哀そうなことになるんだ」
「じゃあ自分が同じような立場になったらどうすればいいんだろう」
そのヒントをキャプテンアメリカはもっているように思います。
小さな意見でも束になれば大きな影響力になる時代。
あっという間にオリンピックの会長は女性に変わった事実。
声を上げないと何も動き出しません。
搾取の構造をなくしていくには声を上げましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
エンタメも保健体育も受験には使わないけど、生きていくヒントがぎっしり詰まっている。
これからも、その面白さを少しでも伝えられたらなおもいます。