こんにちは。ホケンタイイク246です。
中学3年生の剣道を担当していて、授業内容を備忘録としてまとめておきたいと思います。
去年はコロナによる休校措置があり、6月以降にしか授業が行えず基本動作と正面打ちと左右面の打つ受けるぐらいしかできませんでした。
今年は去年に比べると1か月分ぐらいは多く授業があるので、基本動作だけでなく演舞までやってみたいと思っています。
ここまで授業をしたのは2回。この2回でどこまで仕込むことができるかで授業の空気が決まると思っています。剣道は竹刀を振る特性上、危険と隣り合わせ。道場でのルールとマナーをはじめにキッチリ伝えることが何よりも重要です。
したがって、笑顔でわきあいあいという雰囲気ではなく、緊張感と達成感、打突の快感。そんな授業をしていきたいと思っています。
では、どのような内容を行ったのか見ていきましょう。
なぜ、剣道をしないといけないのか
【初回の授業】
- なぜ剣道が体育でおこなわれるのか
- 道場のルール
- 挨拶の方法(座礼、立礼、左座右起)
- 竹刀の握り
正直、「剣道よりサッカーさせろよ」と思うのが当たり前。中には乗り気ではない生徒もいるでしょう。
それでも学習指導要領にある以上は授業で行う必要がある。
まず、教師が行わなければいけないのは「なぜ剣道をしなくてはいけないのか」ということを明確にすることです。
刀で戦う必要のない現代において、なぜ剣道を学ぶ必要があるのか。
皆さんは、どのようにお考えでしょうか。
僕はこのように説明しています。
「日本で礼儀正しいという所作の源流は今川家、小笠原家といった武家の作法である。剣道を通じて武家の作法を学ぶことで社会人として礼儀正しく振るまうことのできる人間に成長することができる。」
「竹刀は人を傷つける武器である。その危険なものを扱うことで、緊張感を養えたり、安全な距離感・危険な距離感をつかむことができる身体感覚を身につけられる。これは街を歩いていたり、車を運転していたりするときに自分や相手を傷つけないために、トラブルが起きないために重要な能力である。」
まとめると
- 作法の一つ一つに意味があり、それは社会に通用するということ。
- 自分と他者をまもるために必要な感性・感覚を学ぶこと。
ということです。
このような話をしてから、基本的な作法を教えて初回の授業を終えました。
順序だてて教えよう
【2回目の授業】
- 足さばき(すべての基礎)
- 竹刀さばき
- 正面素振り
2回目の授業で目指すのは「構え刀→正面素振り10本→納め刀」ができるようにすること。
技を磨くのは時間がかかるので、理解して、意識すればできるレベルにしていきたい。
手順としては以下の通り
【素手】
- 足さばきができる
- 足さばきのリズム振る
【竹刀持つ】
- 提げ刀と帯刀の説明
- 構えの動き(上半身のみ
- 構えの動き(上半身の動きに足を合わせる
- 構え刀、納め刀を繰り返す
- 構え刀、正面素振り、納め刀
足さばきからはじまって、そこにどんどん動きを付け加えていくと狙った動きにたどり着く。
そのような授業展開を意識しました。
どんどん授業が進んでも、はじめに取り組んだ「足さばき」をずっとつづける仕組みになっている。大事なものこそ数多く練習できるわけです。
基本的な動きを身につけさせるには、生徒が順序だてて理解し取り組める工夫がいるのです。
※「足さばき」などを具体的にどのように教えているかは別の記事に書いているので、詳しく知らない人は読んでみてください。
毎年恒例の指導ポイント
何年も中学3年生に剣道を教えていると、毎年おなじようなことを指摘する部分が出てきます。
このポイントさえ押さえておけば、授業は問題なく進められるのではないかと思っています。
授業中に「座ってください」というと左座右起を忘れる
→1回立たせて、座りなおさせる
竹刀の握るときに柄の一番下を余らせて握る生徒がいる
下がるときに左足のかかとをつけてしまう
→全体にむけて口頭で指摘する
左右に動くときに体がブレる
正面素振りのときに猫背の生徒は頭が落ちるので畑仕事をしているような素振りになる
→この動きを大げさにやると笑いが起きる
振りかぶるときに肩甲骨から動かせずに「肘から動かす」生徒がいる
→振りかぶったときに「両腕の間から顔がしっかり見えるようにする」とアドバイス
構えたときに剣先が高すぎる
→左拳は臍より下(丹田)、剣先は臍の高さと何度も言い続ける
このような問題に対して自分なりの回答を用意しておくことが余裕のある授業につながっていくでしょう。
授業の進め方で困っている人は参考にしてみてください。
授業の進め方で意識していること
さきほども書きましたが、剣道の授業は竹刀を振る特性上、とても危険です。
その竹刀を扱うことによって道具の扱いや他者との距離感などさまざまなことを学ぶことができるのです。危険なものを常に危険なものとして取り扱うことは包丁や車を扱う時にとても重要な発想だと思います。
したがって、剣道の授業ではあまりふざけられないし、自由に思い切り動くようなことはできません。かといって授業中に全員がずっと緊張感を維持し続けることは不可能です。
そこで、教師が考えないといけないのは「緊張と緩和」のある授業にすること。人がゾーンという集中する状態に入るには、その手前で弛緩、リラックスすることが大事だと言われています。つまり、リラックスさせたり、クスっと笑わせたりした後に緊張感を持たせる。そうすると道場全体にいい緊張感が生まれる。
授業では竹刀を使うときの雰囲気は変えられません。緊張感のある雰囲気で振るべきです。だからこそ、竹刀を持たせる前にリラックスさせつつクラスが崩壊しないようにコントロールできるかがポイントになるわけです。
自分は声と表情をリラックスするときと緊張感を持つべき時でガラリと変えるようにしています。あと、注意事項は面倒くさくても何回でも同じことを言います。
あと、生徒が程よくリラックスできる方法として「お互いの動きを観察し、アドバイスする」ということも行います。4列で授業をしているので1・2列目と3・4列目が向かい合いお互いの動きを見てアドバイスすることで自分では気づかなかった点に気づくことができたり、コミュニケーションが生まれて雰囲気が和みます。
全体がだんだん緩んでいき、緩み過ぎないタイミングで次のメニューに移るようにしています。
自分も完全にできているわけではありませんが、緊張感が求められるからこそ緩和のテクニックが求められるのかと思います。
自分は剣道未経験なので、偉そうなことは言えないけれど自分なりに学び、隙間時間で竹刀を振り、すこしでも生徒のためになるように精進していきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
あしたからも生徒のために汗をかきましょう!!